普段老人ホームに訪問して施術をしていると、介護の状況を見ることが多いです。
コルセットを巻いて腰痛を軽減しようとしているのを見ると、介護は腰への負担が非常に大きいと感じています。
特に腰痛を引き起こす1番の原因は、『ベッドから車椅子へ』『車椅子からベッドへ』という移乗介護です。
腰痛のみられない介護士もいるなか、多くの介護士を観察していて移乗介護の姿勢に問題があると分かりました。
その姿勢とは・・・・
『猫背』です。
ここで言う猫背は、日常的なものではなく移乗介護時の姿勢の状態ということです。
移乗介護時の猫背が腰痛の原因⁉その理由とは⁉
『以下で詳しく書きます。』
写真のように、両足を左右に開いた状態で前傾し背中から腰を丸めた姿勢で移乗介護すると、腰に負担がかかってしまいます。
これは、脊柱起立筋という背骨の両サイドを走る筋肉だけで、支えようとしてしまうからです。
1人の介護なら良いでしょうが、1日に数十人となると1年間での腰への負担は計り知れないと理解できますよね?
では、腰痛を予防する移乗介護姿勢とはどういったものでしょうか?
理想の移乗介護姿勢をご紹介‼
とてもわかりやすい説明がありましたので、有料老人ホームのあずみ苑のホームページから写真を含め引用させていただきます。
立ち上がる・座る
~端座位(ベッドの端に座った状態)から車いすへの移乗<全介助>~
立ち上がる/座る介助
移動に車いすを使うときに必要な動作です。車いすは、ベッドの側面に対して約30度の角度で設置し、必ずブレーキをかけてフットサポートを上げておきます。片麻痺がある場合は、車いすを健側(麻痺がない側)に設置しましょう。
(立ち上がる)
①両足が床につくように臀部をずらし、浅めに座っていただきます。
②両腕を介助者の肩へまわしていただきます。
③介助者は足を大きく開き、腰を低くし、両腕を背中にまわします。
*ここがポイント!!
両足を前後に大きく開くことで腰の筋肉だけでなく脚の筋肉も使って介護出来るので、腰痛の原因を予防できるんです。
④介助者の肩を高齢者の胸に合わせ、前傾姿勢で立ち上がっていただきます。
(座る)
⑤介助者は車いすに近い方の足を軸足にして、車いすに向き合うように方向転換します。
*ここがポイント!!
後ろに引いた足を軸に回転することで、腰への負担が軽減します。
⑥アームサポートをつかんでもらいながら、ゆっくりと浅く座っていただきます。
⑦介助者は車いすの後ろ側へまわり、両わき下から腕を入れます。
⑧上半身をやや前傾させ、少し引き上げるように手前に引きます。
⑨フットサポートを上げて、両足をのせましょう。
http://www.azumien.jp/contents/method/00006.html
もちろん、普段介護をされている方でしたら基本姿勢は理解されていると思います。
そうは言っても、介護士不足や老人ホームなどで1日に10人以上の方を介護をしていれば時間に追われるため、いちいち腰痛予防のために姿勢にこだわっていられないのではないでしょうか?
そこで、移乗介護の負担による腰痛予防のストレッチをお伝えしたいと思います。
猫背矯正の専門家が伝授‼移乗介護の腰痛予防ストレッチとは⁉
移乗介護で負担がくる筋肉は、
1.『脊柱起立筋』
*棘筋、最長筋、腸肋筋を合わせて脊柱起立筋と言います。
2.『大臀筋』
3.『大腿二頭筋』
この3つの筋肉へのストレッチが腰痛予防に直結しますので、参考になさってみてください。。
- 脊柱起立筋のストレッチ
①両足を肩幅に開く
②背中を丸めてストレッチ
※背骨1つひとつを広げていくイメージで行うと効果的
2.大臀筋のストレッチ
①椅子に座る
②ストレッチしてあげたい側の足を反対の足に乗せる
③乗せた足の膝を下に押してストレッチ
3.大腿二頭筋のストレッチ
①椅子に座る
②ストレッチしたい側の足を前に出す
③上体を前傾させることでストレッチ
*介護の合間や寝る前に行うと効果的ですよ。
まとめ
猫背の姿勢での移乗介護は、腰痛に直結します。
ボランティア精神で社会に貢献したいと介護の世界に入ったにもかかわらず、腰痛で退職する方も少なくありません。
正しい移乗介護姿勢やストレッチを行うことで腰痛を予防し、高齢者に感謝される方が増えてくれると嬉しいです。
*他画像参照:解剖学(医歯薬出版株式会社)
投稿者
川崎 玄輝(かわさき げんき)
一般社団法人日本施術マイスター養成協会認定猫背矯正マイスター®
『美しい姿勢スペシャリスト』認定講座講師
『姿勢であなたも変われる!』
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