高齢者になってくると、体力の衰えを訴える方が増えてきます。
もちろん、健康で過ごすためには、体力の衰え感じる高齢者ほど、体力アップは必要です。
ただ・・・・・・
体力アップしなきゃと感じたときに、難しい運動やハードなトレーニングが必要なのではと思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
先に結論になりますが・・・・・・
高齢者が健康で生活をするために、難しい運動やハードなトレーニングをする必要はありません!
今回は、その理由と高齢者が健康で生活をするために必要な、体力アップに効果的な運動をご紹介しますね。
そもそも『健康』って何????
まず初めに・・・・・・
普段から聞き慣れている『健康』というフレーズを聞いたときに、みなさんは、どのようなイメージを持ちますか?
おそらくですが、ほとんどの方は『元気で病気でない良い身体の状態』というイメージを持っているのではないでしょうか????
近代看護教育の母として有名なフローレンス・ナイチンゲールをご存知でしょうか????
ナイチンゲールには数々の名言集があるのですが、その名言の中にこのようなものがあります。
『健康とは、よい状態をさすだけではなく、持てる力を最大限に活用している状態をさす』と言っています。
また、WHO(世界保健機関)の健康の定義を見てみると、このように記載してあります。
「健康とは身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病のない状態や病弱でないことではない」とあります。
ポイントは、『病気である=健康でない』ということではないということなのです。
「社会的に完全に良好な状態」とは、社会参加がなされている、ということを意味します。
つまり・・・・・・
ナイチンゲールもWHO(世界保健機関)も、言葉は違いますが同じことを意味しているわけです。
病気をお持ちの方であっても、今のその状態で持っている力を最大限に発揮するのとこそが、『健康』と言えるわけですね。
だから、まずは持病を持っている方であっても、自分は健康になれないのだと悲観的にならない事が大切なのです!
わたしは、普段姿勢から健康寿命を伸ばす専門家として、高齢者を中心に施術しています。
もちろん、持病を持っている方も、たくさんいらっしゃるわけです。
もちろん、寝たきりの方もいらっしゃいます。
そういった方々に、施術だけでなく会話も含めて、笑顔になってもらうように心がけて接するようにしています。
たとえ、病気を持っていたとしても笑顔で生活をしていたらどうでしょうか?
その笑顔って、伝染するわけです。
笑顔が伝染し、周りをパッと明るくすることができます。
周りの方も、自然と笑顔になれますから、病気を持っていたとしても、社会に十分貢献できているわけです。
これって、社会参加出来ているということですよね????
医療技術が進歩し、平均寿命も上がっています。
病気を抱えながら生活する方も、今後さらに増えていく可能性があります。
そんな中でも、健康に過ごしていくためには、どうしていけばいいのかが課題になってきます。
健康に過ごすためには、やはり体力も必要になります。
そこで、今回は、わたしが普段高齢者に行っている運動をご紹介させてください。
高齢者の健康に必要な効果的な運動をご紹介
骨粗鬆症などにより、高齢者は転倒骨折しやすいです。
転倒骨折のリスクを減らして、より安全な運動をご紹介しますね。
体力と言っても、人それぞれで、いろいろな捉え方があるかと思います。
立位や歩行をスムーズにする体力もあれば、消化吸収のための体力もあります。転倒骨折予防のために必要なバランス感覚を向上させる体力も必要です。
今回は、健康に対して必要な、これらにアプローチしていく運動を4つご紹介させてくださいね。
①かかとストン運動
足の裏の感覚って、意識していないと鈍くなっていくものです。
また、靴のサイズが合わなかったりすることで、足の指が浮いてしまう浮き指(うきゆび)になったり、外反母趾になってしまいます。
この状態では、足裏全体をうまく使うことができなくなります。
足裏全体をしっかりと使えなくなれば、立位時や歩行時にバランスを崩しやすくなりますので、骨折転倒のリスクも高まってしまうのですよ。
これからご紹介するセルフケアで、鈍くなっている足裏の感覚を研ぎ澄ませて整えていくといいですよ。
【かかとストン運動】
① 壁に手をついて肩幅に立つ。
*転倒防止のためにも壁などに手をついて安定させましょう。
② かかとを出来るだけ上げてつま先立ちになる。
③ このままかかとを一気に床にストンと下ろす。
*かかとを床に下ろした時の振動を、足裏だけでなく体全体で感じるようにしてみてください。
④ これを1セットで10回行う。
より分かりやすく動画を撮りましたので、ご覧ください。
②ハムストリングのストレッチ
太ももの裏の筋肉が短縮してしまうと、骨盤を後ろに引き下げてしまいます(これを骨盤後傾位といいます)。
これは、高齢者に多い姿勢でお尻が垂れてしまっているように見えるのが特徴です。
この姿勢では、足をスムーズに踏み出すことができないので、つまずきやすくなり転倒骨折のリスクが高まってしまうのです!!
太ももの裏には、3つの筋肉があるのですが、3つの筋肉の総称を『ハムストリング』といいます。
*ハムストリングとは、大腿二頭筋(長頭・短頭)・半腱様筋・半膜様筋の総称です。
下の画像を参照ください。
この短縮したハムストリングを、しっかりと緩めていければ、後傾した骨盤も理想的な位置に戻って来るので、転倒骨折のリスクが軽減できるというわけなのです。
【ハムストリングのストレッチ】
① イスに浅めに座る。
②左足を前に出す。
*膝が出来るだけ曲がらないように。
③上体を前に倒す。
*背中を出来るだけまっすぐにした状態で、股関節から前傾させると効果的です。
④太ももの裏がストレッチされているのを感じながら10秒キープする。
⑤右側も同様に行う。
3分ほどの動画でも説明してみましたので、ご覧ください。
③イススクワット
先ほど説明した骨盤後傾位になると、お尻の筋肉である大殿筋をうまく使えなくなり、大殿筋が筋力低下を起こしてしまいます。
大殿筋を鍛えてあげることで、立位や歩行も安定してきます。
大殿筋を鍛えるのにはスクワットが有効ですが、今回は身体への負担が少ない椅子を使ったものをご紹介させていただきますね。
【イススクワット】
① 膝を約90度に曲げて椅子に座る。
② 体を前傾させた状態で準備する。
*できるだけ背中を丸めずにまっすぐにした状態で前傾させて、お尻を後ろに突き出すようにしておくこと。
③ イスから立ち上がる。
④ ②と③をセットで10回行う。
立ち上がる前に、お尻を突き出しておくことで、大臀筋を意識して効果的に鍛えることが出来ます。
大臀筋に効いている感覚を意識させていくことが、とても大切です。
④肩の外回し運動
この運動を行うことで、胸をしっかりと広げることができるようになります。
つまり、肺も開くようになりますから酸欠予防にもなり、疲れづらくなることにつながります。
疲れづらくなれば、歩行含めて日常生活も今よりも楽になってきますよ。
それでは、一緒に行ってみましょう!!
【肩の外回し運動】
① 両手指先を肩の上にポンと置いて準備する。
*椅子に座った状態でも立った状態でも、どちらでも結構です。
② 肩に置いた指先を支点に 肩を外に回す。
*肩に置いた指先を支点にしてあげることで、しっかりと肩を回すことができます。
肩を回す時はできるだけ大きく回しましょう。
この時に肩甲骨も 動くことを意識してみてください。
③肩を後ろに 回しきったら腕をスーッとおろす。
*肘が体に着くまで肩を外回しできたら、そのまま下に腕を下ろします。
腕を下ろした時に、前に巻き込んでいた肩が広がっているのを感じてください。
④①~③をゆっくりと10回繰り返す。
【注意点】
肩の外回しに加えて内回しも行なった方がいいのではと思った方もいらっしゃるかと思います。
実際に行なってみるとわかるのですが、肩の内回しを行うと肩が前に巻き込んでしまい猫背が悪化してしまいます。
肩の内回しも行うのであれば、最終的には肩の外回しを行なって、しっかりと胸を広げてあげるようにしましょう。
今回の肩の外回し運動に関して、動画で説明してみましたのでご覧ください。
まとめ
高齢者の健康のために必要な、体力向上を効果的に行う運動をご紹介しました。
高齢者でなくても、持病をお持ちの方も、今回のブログを読んでいただいているかもしれません。
そういった方にも、今回の運動は効果的ですので、高齢者でないから関係ないと思わずに取り組んでみてください。
先ほどご紹介したように『健康』とは、病気をお持ちの方であっても、その状態で持っている力を最大限に発揮することです。
今回ご紹介した運動が、健康のためにお役に立てれば嬉しいです。
投稿者
川﨑玄輝(かわさきげんき)
一般社団法人日本施術マイスター養成協会認定猫背矯正マイスター®
『美しい姿勢スペシャリスト』認定講座講師