高齢者の方、特に女性の悩みの1つとして、尿漏れに対する不安感があるのではないでしょうか????
わたしは普段、老人ホームを中心に高齢者の施術をしていますが、ほとんどの高齢者がパッドをあてる対策をしていたり、別の対策としてトイレに小まめに行くようにして落ち着かない様子で生活を送っている方も多いです。
実際のところ、尿漏れに対して、どのように対処・改善していけば良いのか分からないのではないでしょうか????
そこで・・・・・・
今回は、高齢者の尿漏れ対策として、今すぐ簡単に取り組める3つのセルフケアをご紹介しますね。
その前に、高齢者の尿漏れの原因についてみていきましょう!!
高齢者の尿漏れの原因とは?!
尿漏れの原因はいろいろとありますが、その1つとして、「骨盤底筋の低下」があります。
骨盤底筋とは、坐骨(左右のお尻の山のそれぞれちょうど下に位置する骨)の間に水平に走る恥骨と尾骨を繋ぐ筋肉です。
実は、膀胱や腸・子宮は、この骨盤底筋によって下垂しないように支えられているのですよ。
男性の場合は、膀胱と腸を骨盤底筋が支えてくれているわけです。
骨盤底筋は、尿道を緩めたり閉じたりする働きがあるのですが、衰えてしまうことでこの機能がうまく働かなくなってしまい尿漏れを引き起こしてしまうというわけです。
では・・・・・・
骨盤底筋が衰えてしまうのはなぜでしょうか????
骨盤底筋が衰えるのは、高齢になってしまったからでしょうか?
もしかすると、ほとんどの方は、このような考えを持っているかもしれませんね。
実は、骨盤底筋が衰えるのは高齢者だけではないんですよ!!
30代以降の若い女性の悩みの種だったりします。
骨盤底筋が衰える原因は、年齢だけではなく姿勢に原因があるからなのです。
ただ、高齢者と若い女性の骨盤底筋が衰える姿勢って違うのです!!
若い女性の尿漏れの原因となる姿勢に関しては、また次回ブログを書かせていただこうと考えています。
では、高齢者の骨盤底筋が衰えてしまう姿勢とはどのようなものか見ていきましょう!!
骨盤後傾位が高齢者の尿漏れの原因?!
高齢者の尿漏れの原因となる姿勢は、どういった姿勢なのでしょうか????
それは、骨盤後傾位です。
骨盤後傾位とは、こういった姿勢のことを言います。
骨盤が後ろ側に倒れてお尻の位置が下がることを、骨盤の後傾と言います。
この姿勢では、バランスを取ろうと背中が丸くなりお腹側が圧迫されます。
また、顔を前に出してしまう特徴があります。
この状態では、立ったり歩いたりするのに大切なお尻の筋肉(大臀筋)がうまく使えず衰えるので、お尻がペタッとなってしまうのも特徴です。
実は、この姿勢だと大殿筋だけでなく骨盤底筋も衰えて弛緩してしまいます。
尿漏れを防ぐためには、お尻の穴をキュッと締めるための筋肉の働きが必要です。
もちろん、骨盤底筋の働きが重要になってくるのですが、お尻の大きな筋肉である大殿筋も一緒に働く必要があるのです。
高齢者に多くみられる骨盤後傾位という姿勢になってしまうことで、大殿筋が低下してしまうので骨盤底筋をうまく使うことができなくなってしまうというわけなのです!!
先ほど、骨盤底筋は膀胱などが下垂しないように支えてくれているとお伝えしましたね?
膀胱を支えている骨盤底筋が衰えて弛緩してしまえば、膀胱をうまく支えられないので、本来あるべき膀胱の機能も低下してしまいます。
このようにして、尿漏れの原因に繋がってしまうわけですね!!
骨盤後傾位になってしまう原因とは????
尿漏れ対策をしていくためには、弛緩してしまった骨盤底筋をうまく使えるようにしてあげる必要があります。
骨盤底筋をうまく使えるようにするためには、やはり姿勢が重要ポイントになってくるんですよ!!
骨盤底筋をうまく使える姿勢とは、骨盤を立てる姿勢です。
骨盤を立てるとは、骨盤後傾位でもなく、骨盤前傾位でもない骨盤の位置の状態を言います。
*骨盤前傾位とは、骨盤後傾位とは逆で、骨盤が前に倒れてしまい反り腰になってしまっている姿勢を言います。
*骨盤前傾位の改善方法については、今回は割愛させえていただきます。
高齢者に多い骨盤後傾位になる原因を3つあげると・・・・・・
①『ハムストリングスの短縮』
②『大殿筋の筋力低下』
③『骨盤周りの柔軟性の欠如』
①ハムストリングスとは、太ももの裏の筋肉である大腿二頭筋長頭・大腿二頭筋短頭・半腱様筋・半膜様筋の総称です。
画像をご覧いただくと分かるかと思いますが、ハムストリングは骨盤についていますよね?
このハムストリングスが、短縮してしまうことで骨盤を下に(膝の方に)引き下げてしまうのです。
そのために、骨盤が後傾してしまうということです。
②大殿筋はお尻の位置を引き上げてくれる役割があるのですが、この大殿筋が筋力低下を起こしてしまうことで、骨盤後傾位の状態から骨盤を立ててあげるということができなくなってしまうのです。
③この状態が長期にわたって続いてしまえば、骨盤後傾位のままガチガチに固まってしまうので、骨盤周りの柔軟性が欠けてしまうというわけなのです!!
高齢者の尿漏れ対策!3つのセルフケアをご紹介!!
先ほどご説明した通り、高齢者の尿漏れの原因となる姿勢は骨盤後傾位です。
ということは、骨盤後傾位にしてしまっている『ハムストリングスの短縮』『大殿筋の筋力低下』『骨盤周りの柔軟性の欠如』を改善していくことが、尿漏れ対策に繋がっていくということになります。
それでは、この3つを改善していくためのセルフケアをご紹介していきますね。
【ハムストリングのストレッチ】
①イスに浅く座る。
②左足を前に出す。
*膝が出来るだけ曲がらないように。
③上体を前に倒す。
*背中を出来るだけまっすぐにした状態で、股関節から前傾させること。
① 太ももの裏がストレッチされているのを感じながら10秒キープする。
⑤右側も同様に行う。
3分ほどの動画でも説明しましたので、ご覧ください。
その方の身体の硬さなどで、改善に時間がかかる方もいますが、ハムストリングをしっかり緩めて短縮を解消すれば骨盤も正しい位置に戻ろうとしてくれます。
あきらめずに、今後のためにも根気よく続けてみてくださいね。
【大殿筋を鍛えるイススクワット】
① 膝を約90度に曲げて椅子に座る。
② 上体を前傾させた状態で準備する。
*できるだけ背中を丸めずにまっすぐにした状態で前傾させて、お尻を後ろに突き出すようにしておくこと。
③ イスから立ち上がる。
④ ②と③をセットで10回行う。
立ち上がる前に、お尻を突き出しておくことで、大臀筋を意識して効果的に鍛えることが出来ます。
大臀筋に効いている感覚を意識させていくことが、とても大切です。
動画でもやり方をご紹介しますので、ご覧ください。
【骨盤振り運動】
最後にご紹介するのは、骨盤振り運動です。
年を重ねてくると、骨盤後傾位の状態で骨盤周りの筋肉がガチガチに固まっていきます。
骨盤が柔軟に動いてくれないと、骨盤も理想的な位置に戻していくことができません。
今回ご紹介する骨盤振り運動で、ガチガチに固まった骨盤を柔軟にしていきましょう。
1. 軽く膝を曲げて肩幅に立つ
2.腰をそらせて骨盤を前傾させる
3.腰を斜め上前方に持っていき骨盤を後傾させる
4.これを1セットとして、ゆっくりと10回行う
画像では分かりずらいので動画でもご紹介しますね。
まとめ
わたしが普段高齢者の施術をしていて、よく耳にするのが日常生活においての尿漏れに対する不安感です。
不安感から、外出しても気になって楽しめない方も多いです。
こうなってくると、気分も沈みがちになり免疫力低下にも繋がってしまいます。
今回ご紹介した3つのセルフケアを行うことで、少しでも日常生活での不安感から解消できる方が1人でもいてくれれば嬉しいです。
投稿者
川﨑玄輝(かわさきげんき)
一般社団法人日本施術マイスター養成協会認定猫背矯正マイスター®
『美しい姿勢スペシャリスト』認定講座講師