数年前から耳にするようになったサルコペニアというものをご存知でしょうか????
この後詳しく説明しますが、サルコペニアとは簡単に言うと加齢などにより筋肉量が減少してしまうことを言います。
転倒や骨折、寝たきりのリスクが高まってしまうので、早い段階から予防のための運動を行っていくことが、健康長寿には不可欠になってくるというものです。
今回は・・・・・・
サルコペニアとは何なのか????
サルコペニアを予防するために、今のうちから最低限取り組むべき効果的な運動とは????
ということについて、ご紹介させていただきます。
サルコペニアとは何なの????
サルコペニアについて、分かりやすい画像で説明してあるものを見つけましたので、こちらを参考にさせていただきます。
*食彩だより 第40号
東京医科歯科大学
http://www.tmd.ac.jp/medhospital/medical_central/document/eiyou_syokusai40.pdf
サルコペニアとは、ギリシャ語の「筋肉」を表す“サルコ”と、「喪失」を表す“ぺニア”を組み合わせた言葉で、筋肉量が減少し、筋力や身体機能が低下している状態のことを言います。
ということは、サルコペニアの予防には、十分な栄養摂取と筋力増加のための運動が不可欠になってくるわけです。
高齢者になって交流が減ってきてしまい、社交的でなくなってくると、活動レベルも低下してきます。
活動レベルが低下してくれば、エネルギー消費量も減少してきますね。
エネルギー消費量が減少してしまえば、お腹も空かないので食事量も減少します。
そうなると、筋肉量を増加させるためのタンパク質摂取量も減少するので、ますます筋力が低下して身体機能も低下していってしまい、寝たきりや要介護のリスクもどんどん高まってしまうというサイクルができ上がってしまうので、注意していきたいところですよね!
ここで、先ほど参考にしました画像に、サルコペニアのチェック方法が載っていましたのでご紹介しますね。
ご自身はもちろんですが、大切なご家族もチェックしてみてはいかがでしょうか????
あなたは大丈夫?サルコペニアチェック
1.体格指数(BMI)が18.5未満
*BMI=体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)
2.横断歩道を青信号で渡り切れないことがある
3.ペットボトルやビンの蓋が開けにくい
チェックリストの2番目に、『横断歩道を青信号で渡り切れないことがある』とありますが、こちらに注目していただけますでしょうか?
なぜなら・・・・・・
歩行困難に関しては、筋力低下だけが原因ではないからです!
これから、詳しく説明しますね。
歩行困難が筋力低下だけではない理由とは????
もちろん、大病であったり、大腿骨骨折後などという理由であれば、歩行困難は難しくなってきます。
ただ今回は、こういった理由ではなく、今までと変わらない日常生活を送ってきたにも関わらず、歩行が困難になってしまう理由についてお伝えさせてください。
歩行困難が筋力低下だけではない理由とは・・・・・・
『姿勢(猫背)』
むしろ・・・・・・
姿勢の崩れ、猫背が歩行に必要な筋力を低下させている可能性が十分にあると考えています。
高齢者に多い姿勢とは????
姿勢の崩れ、猫背が歩行に必要な筋力を低下させているとお伝えしましたが、高齢者の姿勢がどのようになっているのかを、まずは知る必要があります。
高齢者の姿勢を知ることができれば、歩行困難になる理由に納得できるはずです!
高齢者に多い姿勢とはこちらです。
高齢者に多い姿勢の特徴とは、上の画像のように骨盤がお尻側に倒れてしまい、お尻が垂れてしまうタイプです。
骨盤の後ろに付いている太ももの裏の筋肉が短縮し、骨盤を引っ張るように下に引き下げてしまうことで、このような姿勢になります。
この姿勢を『骨盤後傾位』といいます。
この状態では、立ったり歩いたりするのに大切なお尻の筋肉(大臀筋)が使えず衰えるので、お尻がペタッとなってしまうのも特徴です。
また、骨盤の後傾に対してバランスを取ろうと、上半身は肩を前に出し背中を丸くし猫背の状態になります。
もし、背中を丸くして猫背にならずに、上体を真っすぐにすると、上体ごと後ろに倒れてしまうからです。
さらに内臓も圧迫してしまうので、消化不良や便秘の原因にもなってくるんですよ。
下肢に関しては、バランスを取ろうと膝を曲げる姿勢になるので、膝痛の原因にもなるので注意したいです。
骨盤後傾位と歩行困難との関係とは????
では・・・・・・
なぜ、骨盤後傾位が歩行困難につながるのか?
みなさん、そう思われた事でしょう!!!!
先ほどの画像を見ながら、説明しますね。
この骨盤後傾位だと、お尻が垂れてしまうので、重心が骨盤後方側にあります。
重心が骨盤後方側、つまりお尻のほうにあるということは、歩行時に足を前にしっかりと踏み出すことができません。
重心がお尻側にあるということは、お尻側が重いため、椅子などからスムーズに立ち上がることができません。
立位時や歩行時にも尻もちをつきやすくなるので、転倒骨折のリスクが高まります。
また、肩が前に出て猫背になってしまうことで、胸をしっかりと開くことができなくなります。
肺も開かずに、深呼吸もできなくなってしまうので、少し動いただけでも酸欠状態になり疲れやすくなってしまうのですよ。
ということは・・・・・・
歩行時にしっかりと足を前に踏み出すことができず、酸欠を起こしやすくなるので、歩行困難になっていってしまうのです!
先ほどの、サルコペニアのチェックリストの2番目に、『横断歩道を青信号で渡り切れないことがある』とありましたが、以上の理由から、骨盤後傾位になってしまうことで、青信号で渡り切れないということにつながってしまうわけですね。
サルコペニアを予防する効果的な運動とは????
姿勢が崩れて骨盤後傾位になることが、歩行困難になり、サルコペニアの原因になるということは、ご理解いただけましたでしょうか?
それでは、最後にサルコペニアを予防する効果的な運動をご紹介しますね。
今回は、3つご紹介させていただきます。
ポイントは、骨盤後傾位をいかにして改善していけるかです!
骨盤後傾位が歩行困難の原因であり、サルコペニアにつながっていましたよね????
ということは、骨盤後傾位を改善していける運動を行っていけば、転倒のリスクも減り歩行も安定するので、サルコペニアの予防に十分なるというわけなのです。
1.ハムストリングのストレッチ
骨盤を後傾させてしまう原因として、先ほど太ももの裏の筋肉の短縮をあげました。
太ももの裏には、3つの筋肉があるのですが、3つの筋肉の総称を『ハムストリング』といいます。
*ハムストリングとは、大腿二頭筋(長頭・短頭)・半腱様筋・半膜様筋の総称です。
下の画像を参照ください。
この短縮したハムストリングを、しっかりと緩めていければ、後傾した骨盤も理想的な位置に戻ってきますよ。
【ハムストリングのストレッチ】
① イスに浅めに座る。
②左足を前に出す。
*膝が出来るだけ曲がらないように。
③上体を前に倒す。
*背中を出来るだけまっすぐにした状態で、股関節から前傾させること。
④太ももの裏がストレッチされているのを感じながら10秒キープする。
⑤右側も同様に行う。
3分ほどの動画でも説明してみましたので、ご覧ください。
ガチガチに固まってしまったハムストリングは、その方の状態によっては直ぐに緩んでくれないことが多いです。
ストレッチを毎日行なって習慣にしていくことで、ガチガチだったハムストリングもちゃんと緩んでくれるようになります。
ぜひ、根気よく続けてみてくださいね。
2.椅子を使ったスクワット
骨盤が後傾してしまうと、お尻の筋肉である大殿筋をうまく使えなくなり、大殿筋が筋力低下を起こしてしまいます。
大殿筋を鍛えてあげることで、立位や歩行も安定してきます。
大殿筋を鍛えるのにはスクワットが有効ですが、今回は身体への負担が少ない椅子を使ったものをご紹介させていただきますね。
【椅子を使ったスクワット】
① 膝を約90度に曲げて椅子に座る。
② 体を前傾させた状態で準備する。
*できるだけ背中を丸めずにまっすぐにした状態で前傾させて、お尻を後ろに突き出すようにしておくこと。
③ イスから立ち上がる。
④ ②と③をセットで10回行う。
立ち上がる前に、お尻を突き出しておくことで、大臀筋を意識して効果的に鍛えることが出来ます。
大臀筋に効いている感覚を意識させていくことが、とても大切です。
動画でも説明しましたので、ご覧ください。
3.肩の外回し運動
この運動を行うことで、胸をしっかりと広げることができるようになります。
つまり、肺も開くようになりますから酸欠予防にもなり、疲れづらくなることにつながります。
それでは、一緒に行ってみましょう!!
【肩の外回し運動】
① 両手指先を肩の上にポンと置いて準備する。
*椅子に座った状態でも立った状態でも、どちらでも結構です。
② 肩に置いた指先を支点に 肩を外に回す。
*肩に置いた指先を支点にしてあげることで、しっかりと肩を回すことができます。
肩を回す時はできるだけ大きく回しましょう。
この時に肩甲骨も 動くことを意識してみてください。
③肩を後ろに 回しきったら腕をスーッとおろす。
*肘が体に着くまで肩を外回しできたら、そのまま下に腕を下ろします。
腕を下ろした時に、前に巻き込んでいた肩が広がっているのを感じてください。
④①~③をゆっくりと10回繰り返す。
【注意点】
肩の外回しに加えて内回しも行なった方がいいのではと思った方もいらっしゃるかと思います。
実際に行なってみるとわかるのですが、肩の内回しを行うと肩が前に巻き込んでしまい猫背が悪化してしまいます。
肩の内回しも行うのであれば、最終的には肩の外回しを行なって、しっかりと胸を広げてあげるようにしましょう。
今回の肩の外回し運動に関して、動画で説明してみましたのでご覧ください。
まとめ
姿勢を整えていくことが、サルコペニアの予防には欠かせないとお伝えしました。
猫背を改善することで身体の筋力のバランスも整ってきますので、日常生活での転倒骨折のリスクが軽減できます。
今回ご紹介した運動は、ほんの一部ですが、直ぐに取り組めるものですので、健康長寿のためにも、ぜひ習慣にしてくださいね。
投稿者
川﨑玄輝(かわさきげんき)
一般社団法人日本施術マイスター養成協会認定猫背矯正マイスター®
『美しい姿勢スペシャリスト』認定講座講師