尿漏れのお悩みは、高齢者に限ったことだと思われがちです。
でも、尿漏れは男女問わずに、中若年層でも起こることです。
若い世代、10代の女性の悩みの1つだったりもするわけです。
実は、中若年層(10代~64歳)と高齢者(65歳以上)の尿漏れ対策って、違ってくることをご存知でしょうか????
前回は、高齢者の尿漏れ対策のための運動についてお伝えしました。
今回は、中若年層の尿漏れ対策のために必要な運動についてご紹介しますね。
*高齢者の尿漏れ対策運動に関しては、こちらをご覧ください。
【尿漏れの原因とは????】
まずは、尿漏れがなぜ起こってしまうのかを知る必要がありますよね?
原因といっても、実はいろいろな原因があります。
精神的なストレスが原因ともいわれています。
ただ・・・・・・
ここでは、前回の高齢者の尿漏れ対策でお伝えしたように、骨盤底筋に着目していきますね。
骨盤底筋とは、坐骨(左右のお尻の山のそれぞれちょうど下に位置する骨)の間に水平に走る恥骨と尾骨を繋ぐ筋肉です。
実は、膀胱や腸・子宮は、この骨盤底筋によって下垂しないように支えられているのですよ。
骨盤底筋は、尿道を緩めたり閉じたりする働きがあるのですが、衰えてしまうことで、この機能がうまく働かなくなってしまい、尿漏れを引き起こしてしまうというわけなのです。
では・・・・・・
中若年層であっても、骨盤底筋が衰えてしまうのは、なぜでしょうか????
高齢者であれば筋力低下など、何となく想像がつくかもしれませんが。
これから、中若年層である若い方の骨盤底筋が衰えてしまう原因と、それが尿漏れにつながってしまうのかについて説明していきますね。
【中若年層の骨盤底筋が衰える理由とは????】
高齢者の場合は、骨盤を持ち上げてくれる大殿筋などの著しい筋力低下が引き金となって骨盤底筋が衰えていました。
詳しくは、こちらをご覧ください。
でも・・・・・・
中若年層の場合は、出産や肥満・慢性的な便秘が原因となっているのです。
ここで、出産や肥満・慢性的な便秘になった時の姿勢を想像していただけますか?
出産・肥満・便秘に共通する姿勢といえば、お腹が出てしまう姿勢ということです。
お腹が出てくると、腰椎がおへそ側に押し出される形になりますよね?
つまり、反り腰になってしまうというわけなのです。
反り腰は、お腹が出てしまい、骨盤が前に傾れてしまう(骨盤前傾位)ことで起こります!
ちなみに、骨盤前傾位とは、こういった姿勢になります。
上前腸骨棘(ASIS)が上後腸骨棘(PSIS)よりも下がることで、骨盤前傾位になります。
*上前腸骨棘(上画像の赤マーク)とは腰骨の前側の一番出っ張っているところ、上後腸骨棘(上画像の青マーカー)とは腰骨の後ろ側の一番出っ張っているところを言います。
ベルトが引っかかるところだと思ってください。
*上前腸骨棘=じょうぜんちょうこつきょく
上後腸骨棘=じょうごちょうこつきょく
出産などを経験していない若い方たちはどうなのかというと、反り腰になっていることが多いです。
ハイヒールなどの履物1つでも、反り腰は形成されてしまうものなのですよ。
ここで、ポイントとなってくるのは、骨盤前傾位になることで骨盤底筋が弛緩してしまうということです!!
骨盤底筋が弛緩してしまうということは、日常生活において、お尻の穴をキュッと締めることができなくなるということです。
これから詳しく説明しますね。
【骨盤前傾位と骨盤底筋の関係性とは????】
骨盤底筋と骨盤底筋に関わる筋肉について知っておく必要があります。
みなさんは、インナーユニットというものをご存知でしょうか?
インナーユニットについて、見やすい画像がありましたので、こちらを参考にさせていただきます。
参考画像:日経Goodayより
インナーユニットとは、『多裂筋』『骨盤底筋』『横隔膜』『腹横筋』の4つをまとめて言います。
身体の深部にあって、姿勢に大きく関与している筋肉であると理解しておいてください。
画像を見ながら、もう少し分かりやすく説明してみると、
『多裂筋』『腹横筋』→コルセット
『骨盤底筋』→ハンモック
『横隔膜』→パラシュート
つまり・・・・・・
『多裂筋』『腹横筋』が、コルセットの役割として体幹周りを固定する。
パラシュートである『横隔膜』とハンモックの役割となっている『骨盤底筋』が上下から身体の深部を支えて、これら4つの筋肉が姿勢を安定させてくれているというわけです。
ただ・・・・・・
姿勢を安定しようと頑張ってくれているインナーユニットですが、骨盤が傾いてしまうことで簡単にバランスを崩してしまうのです?!
骨盤前傾位、反り腰になると腰側(背中側)がギュッと詰まるようになります。
背骨と背骨が、ギュッと圧迫されてしまうわけです。
ということは、インナーユニットの腰側にある『多裂筋』が短縮してギュッと固まってしまうのです!!
実は、『多裂筋』が短縮することで、『ある筋肉』が緩んでしまいます。
それが、本日のテーマで大切になってくる『骨盤底筋』なのです!!
骨盤が前傾して反り腰になり『多裂筋』が短縮すると、『骨盤底筋』が緩んで、肛門側がフワッと広がってしまうイメージです。
ここで分かりやすく説明するために、一度読むのを止めてその場に立っていただけますか????
まずは、何も考えずに上体は動かさないようにして、反り腰になってみてください。
次に、お尻の穴をキュッと出来るだけ思いっきり締めた状態で、同様に反り腰になってみていただけますか?
両方とも行ってみると、ある体感ができたのではないでしょうか????
お尻の穴をキュッと思いっきり締めた状態で反り腰になろうとすると、反り腰になれないはずです!!
*ここで反り腰になれたよという方は、上体を後ろに反らせてしまっているはずです。
上体は真っすぐにしたままで、骨盤だけを動かして反り腰にしようとしてみてくださいね。
つまり・・・・・・
この2つの動作で理解していただきたいことは、こういうことです。
骨盤前傾位・反り腰になって、多裂筋が短縮し筋緊張状態になるということは、その逆で肛門側である骨盤底筋が緩んでしまうということですね。
だから、骨盤底筋が弛緩してしまうことで締めることが出来なくなり、日常生活での尿漏れにつながってしまうというわけなのです。
【骨盤前傾位の尿漏れ対策運動とは????】
骨盤前傾位では、骨盤底筋が弛緩してしまうことは理解できましたか?
骨盤底筋が弛緩した状態では、うまく機能できません。
骨盤底筋をうまく使えるようにするには、前傾した骨盤を理想的な位置に戻して、骨盤底筋と多裂筋のバランスがとれるようにしてあげればいいわけです。
↓
上の画像のように、骨盤前傾位を理想的な骨盤の位置に戻していく必要があるのです。
骨盤前傾位にしてしまっている原因として、大腿前面の筋肉の短縮や内転筋の短縮があります。
これらの筋肉をしっかりとストレッチしてあげることで、骨盤前傾位は改善していきますので、そのストレッチをご紹介します。
また、骨盤前傾位のままで長年生活をしていると、ガチガチに固まってしまっている可能性もあるので、骨盤周りを柔軟にしていくための体操もご紹介させていただきますね。
《骨盤前傾改善のストレッチ》
①右足を大きく前に出し左膝を床につけた状態で、上体は真っ直ぐな姿勢で準備する。
②上体を真っ直ぐにしたまま、前に体重移動させる。
③左側の太ももの前側から股関節が伸びているのを感じた状態で、10秒キープする。
④反対側も同様に行う。
動画でもお伝えしているので、あわせてご覧ください。
※腰が辛い時や寝る前に行うと効果的ですので、習慣にしましょう。
*しっかりと行っていただくことで、その場で骨盤の位置が整ってしまう方も結構いらっしゃいますよ(笑)
《内転筋のストレッチ》
① 椅子に座って、あぐらをかくような感じで右足を左脚に乗せる。
② 右の腕(肘から手首までの間の広いところ)を右太もも内側にあてる。
③ 右内太ももに対して垂直に、ジワ~ッと体重を乗せていきながら圧をかけていく。
④ 右太もも内側が伸びてるな~と感じたところで止めて、10秒ストレッチ。
*お尻の方などが伸びている方もいらっしゃるかもしれませんが、それでも結構です。
⑤ 反対側も同様に行う。
*動画でも説明してみましたので、ご覧ください。
《骨盤振り運動》
最後にご紹介するのは、骨盤振り運動です。
この運動は、先日ご紹介した『高齢者の尿漏れ対策運動』でもご紹介したものです。
特に女性は、男性に比べて筋力が低いので始めは上手くいかないかもしれません。
骨盤が柔軟に動いてくれないと、骨盤も理想的な位置に戻していくことが難しくなってきます。
今回ご紹介する骨盤振り運動で、ガチガチに固まった骨盤を柔軟にしていきましょう。
① 軽く膝を曲げて肩幅に立つ。
② 腰をそらせて骨盤を前傾(反り腰)させる。
③ 腰を斜め上前方に持っていき骨盤を後傾(お尻を下げる)させる。
④ これを1セットとして、ゆっくりと10回行う。
画像では分かりづらいので、動画でもご紹介しますね。
まとめ
先ほど説明したように、骨盤前傾位では骨盤底筋が弛緩してしまいます。
よく骨盤底筋を鍛えるエクササイズをご紹介してあるのを拝見しますが、骨盤前傾位のままエクササイズをしても効果が半減すると考えています。
それよりも先にやるべきことは、骨盤前傾位を理想的な骨盤の位置に戻していって、骨盤底筋をうまく使えるようにしてあげる必要があるのですよ。
まずは、骨盤を理想的な位置に戻していくために、今回ご紹介した運動を習慣にしてみてくださいね。
また、中若年層でも反り腰ではなく、逆に骨盤が後傾してしまっていることで尿漏れになってしまっているケースもあります。
学校やデスクワークなどでの座り方によっては、このように骨盤後傾位になるケースも少なくありません。
小学生でも、学校の椅子がツルツルしていて、お尻がズルズルと前に滑ってしまい、習慣化され骨盤後傾位になる子も増えてきているようです!
骨盤後傾位とは、お尻が垂れてしまっているように見える姿勢のことを言います。
実際には高齢者に多い姿勢ではありますが、日常生活の習慣で、若い方でも増えてきているのです!!
こちらのタイプの方は、先日ご紹介した高齢者のための尿漏れ対策運動が効果的ですので、改めてリンクを張っておきますね。
今回ご紹介した3つの運動を習慣にしていただき、少しでもストレスなく生活を送れるようになっていただければ嬉しいです。
投稿者
川﨑玄輝(かわさきげんき)
一般社団法人日本施術マイスター養成協会認定猫背矯正マイスター®
『美しい姿勢スペシャリスト』認定講座講師